Project with
建築家 高松伸
ⒸNobuo Yaguchi
Living Talk Decorでは、様々なアーティストやデザイナーとコラボレーションし、新たな価値を発信するプロジェクトが進行中です。
「国立劇場おきなわ」「天津博物館」「植田正治写真美術館」など数多くの公共建築を手がけ、独自の建築論を展開する建築家として第一線で活躍し続けている高松伸さんとのプロジェクトがスタートします。
これまでのプロジェクトや手掛けられた作品をいくつかご紹介して参ります。
「Living Talk Decor」のオーナー梶原と20年来の親交がある高松伸さん。
初めての取り組みとして、高松伸さんによる家具のシリーズを発表したのは、10年ほど前でした。
時を経て、この度、第2弾のプロジェクトとして「器」をテーマにしたものづくりがはじまります。
過去に発表された家具シリーズのソファ
3P ソファ
THREE PERSONS SOFA
建築の経験の叡智を生かしたものづくりによって、生まれた家具シリーズの代表作。
美しい佇まいのソファは、座る人の姿勢を自然と正します。
家具の曲線と、家具によって生まれる余白の曲線が繋がることで、非日常的な空間を演出するデザインは、高松伸さんの特徴が凝縮されています。
[上から順に]
THREE PERSONS SOFA / 3P ソファ [W2,200×D800×H540mm]
LOW TABLE/ ローテーブル [W1,800×D600×H480mm]
ONE PERSON SOFA/ 1P ソファ [W900×D800×H580mm]
SIDE TABLE/ サイドテーブル [W600×D600×H600mm]
*現在全て生産終了
Introduction
Works
シーウッドホテル宮古島来間リゾート
沖縄本島の南西290㎞に位置する宮古島。そのまた南西にぽつねんと浮かぶ来間島におけるリゾート計画である。大小107棟のヴィラ、計62室三層のホテル棟、プールを併設するレストラン棟、フロントオフィス・メインダイナー・ジム・ショップから成るセンターハウス、及びオペレーションの為の諸室によって構成されている。
来間島は宮古島とは一本の農道橋によってかろうじて往来が可能であり、 面積3㎢弱全周9㎞のこの島はほとんど孤島と呼んでよい。沖縄諸島エリアでも屈指の透明度を誇る海域に囲まれ、くまなくコーラルストーンで覆われたこの神秘的な島をまさしく「聖域」として構想する想像力を求められることになった。
植田正治写真美術館
写真家植田正治生誕の地に、彼の作品を半永久的に保存・展示する美術館の建設が企画され、植田の意向に沿って町より設計者として指名された。
名峰大山の麓のなだらかなすそ野の一画という、孤高の写真家の美術館としては願ってもない敷地である。ゆえに、設計者は新たな建築の存在がその絶景と如何に対峙し、かつ如何なる風景を相補的に形成し得るかという不可避の課題に当初から直面することになった。
結果、美術館というビルディングタイプが要請する巨大な量塊を避け、展示室を分断することによって群的なシルエットを形成するとともに、大山を軸としたゆるやかなカーヴ状の壁でこの群形を囲った。
集落的なたたずまいによる圧倒的な自然への介在とでも言おうか。展示室間におかれた水面が美術館を巡る者に逆さに写し撮られた美峰の光景を提供することになる。既に在る風景が新たなる風景への扉をひそかに開くことになる。
写真家植田はこの美術館と自らの作品「少女四態」との共通性にいたく喜んだ。光栄である。
国立劇場おきなわ
国が土着の伝統芸能「組踊」を核として、沖縄はもとよりアジア太平洋地域における伝統文化を振興すべく、沖縄県浦添市に、全国で5番目となる国立劇場の建設を決定し、プロポーザル設計競技を経た末に設計者として指名を受けることになった。
「ゲニウス・ロキ」という言葉がある。「土地の精神」若しくは「地霊」を意味する。影ひとつない広漠たる建設地を訪れて以来、まるで島嶼の焦熱に煮詰められてしまったかの如く、その古い言葉が設計プロセスの煩悶にわだかまり続けた。
ここではその古い言葉の残響に耳をすまし、その旋律に思考の脈動を委ねることにした。「他でもない沖縄の、なおかつ他でもないこの地に、土地の気脈のままにすっくりと立ち上がる建築とはなにか」「未だかつて目にしたこともなく、しかるに確かに見たに違いない始原の建築とはなにか」 そのかたちがここにある。避け難くある。思えば、古来芸能とは地霊との交信のかたち以外のなにものでもない。
Biography
ⒸHIROSHI MATSUKI
建築家
高松伸 / Shin Takamatsu
島根県生まれ
京都大学名誉教授
工学博士
アメリカ建築家協会(AIA)名誉会員
ドイツ建築家協会(BDA)名誉会員
英国王立建築家協会(RIBA)会員
ホームページ|https://takamatsu.co.jp/