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インタビュー / TALK with

建築家 Andrea Pompili

株式会社トークとご縁がある皆様にお話しを伺う「TALK with」。

Living Talk Decorでは、様々なアーティストやデザイナーとコラボレーションし、新たな価値を発信するプロジェクトを進行中です。

今後新たにコラボレーションに取り組む、建築デザインの第一線で活躍するAndrea Pompili (アンドレア・ポンピリ)さんに、デザインや日本の文化に対する考え方について伺いました。

- アンドレア・ポンピリ さんのご紹介

1989年イタリア・チェゼーナ生まれ。建築家。

スイスにあるUSIの建築アカデミーを卒業後、映画業界でのキャリアを経て、2018年から東京に拠点を移し『藤本壮介建築設計事務所』にて勤務。

その後、コロンビア大学で、DeathLABの一員としての活動を経て、『隈研吾建築都市設計事務所』(KKAA)に所属し、独立。その後もKKAAの仲間として、フリーランスコンサルタントの立場で携わっている。

また、建築デザインと写真を通じて料理の空間を探求するアートプロジェクト「Tuorlo Blue」のメンバー。

Tuorlo Blueの作品

※再生時は音楽が流れます

「体験やストーリーを伝えること、それがデザイン」

- アンドレアさんにとってデザインとは何ですか?

「常に根幹(Radical)にコンセプトを持つことで、建物からテーブルやインテリアの細部まで、一貫したものになるようデザインをしています。

また、建物の外観や内装のデザインだけではなく、体験(Experience)やストーリーも伝えて、建物に足を踏み入れた時の気持ちも統一されたものになることが大切です。

その体験は、少しずつ理解していくアートと同じように、全てが初めから理解できなくてもよいと考えています。2回目、3回目とそのデザインに触れる度に、新しい発見や違う体験ができるものであり、また、それを受け取る人によって違うものです。」

- デザインの考え方以外にこだわりのあるものはありますか?

「材質選びも、とても重要と考えています。

例えば、天然の木は年輪として生きてきた証が表れるので、その自然の記憶の美しさを使わないともったいない。組み木は、つなぎ目までデザインの一部として見えるので、天然の素材をそのまま活かしてデザインします。

そこをフェイクの木材にすると、デザインした体験やストーリーが伝りません。

材質によってデザインも大きく変わるのです。

コンクリートの場合、流し込んで素材を固めるので、木材に比べて制限がない自由なデザインが可能です。

例えば、木で作った型に流し込むのであれば、コンクリートの表面にも木目も残すことができます。製造課程でどのように作られたか、その記憶が刻まれるのです。

また、ツルツルに磨き上げたり、素材に使用する石のザラザラな質感をそのまま表面に活かすこともできたり、材質の特徴をデザインに活かすことができます。」

-日本の文化やデザインをどう感じますか?

「伝統的な文化を守りながら、進化していると感じます。

海外の建築は装飾などがありゴージャスなものも多いですが、日本のデザインはとてもシンプルで美しい。シンプルでありながら多くの意味や機能を持っています。

日本の『俳句』も同じで、限られた文字数の中にも、一つの言葉にさまざま意味を持ちながら幅広い表現していることに、魅力を感じます。

また、日本の文化は、一つの中に、さまざまなレイヤー(層)があると感じています。

例えば、日本庭園であれば、一歩踏み入れると初めに自然の美しさを感じます。

次に庭園に入る際には、小さな扉の入り口が配置されていることに気づきます。そこを通るには、誰もが屈んで通り抜けるという体験がデザインされています。

また、庭園の道も同じです。歩くために飛び石が置いてありますが、必ずその置かれた石のリズムに合わせて歩くことになります。

このように、日本の伝統的なスペース(庭園、畳)にいくと、毎回違う発見があり驚かされます。それは、時に複雑ですが、その要素にも意味があり、面白いと感じています。

シンプルさと複雑さ、そのどちらの体験も、建築のデザインの一部であると考えています。」

- 今後どのような器やインテリアをデザインしたいですか?

「今後は、磁器のデザインにチャレンジしていきたいと思っています。

これまで経験してきた陶器とは厚みや強度が異なるため、磁器ならではの素材の特徴を生かしたさまざまな形のデザインができると考えています。

また、日本の素材を生かしたものもデザインしたいです。例えば磁器と日本の木をミックスしたもので、テーブルウェアや花瓶やケースなどをイメージしています。

また、ひとつのもので様々な機能を持つプロダクトもつくっていきたいと思っています。

以前発表した多機能な花瓶『Nero』は、花を生けるだけでなく、ポプリやアロマのトレーとして使用できます。

そのインスピレーションと同じように、お皿と箸置きの機能をミックスしたものなどアイディアを練っているところです。」

Nero

Nero

Nero

Nero

- 多機能でシンプルなデザインは日本の文化と通じるものがありますが、元々イタリアにいた頃からの構想ですか?

「イタリアの文化で培った感覚と日本で影響をうけた感覚が、ミックスされて生まれたものだと感じています。

でもそれは自分自身でも気が付かないうちに、ゆっくりと花が咲くように、そのような感覚のデザインが開花していきました。

アート業界にいるイタリアの両親から指摘されて、初めて自分自身の感覚の変化に気がついたんです。

Message from Andrea Pompili

"Joining TALK project as an architect-designer is an exciting adventure. I find it pivotal to design the new by understanding the old synthesized by traditions. As designers, we need to be able to observe and understand our surroundings to be capable of creating products that have their roots in the experience and exploration of cultures. Living Talk is a brand certainly keen on this approach."

- ありがとうございました。アンドレアさんならではのデザイン感覚で、今後どのようなプロダクトが生み出されるのか大変楽しみです。またプロジェクトの進行と共に続編をお届けして参ります。お楽しみに!

プロフィール

建築家

Andrea Pompili / アンドレア・ポンピリ

1989年イタリア・チェゼーナ生まれ。

2015年に、建築家ヴァレリオ・オルジャティ教授の下、スイスにあるUSIの建築アカデミーを最優等で卒業。

在学中には、ボストンのStudio Luz Architects、及びNADAAA建築事務所にて、1年間インターンシップに参加。

2015年~2017年、映画監督マルコ・ミュラーの大学講義の助手を務め、その後ヴェネツィア映画祭ディレクターも務めたルカ・グァダニーノ監督の映画作品「サスペリア」のアシスタントアートディレクターに抜擢される。

2018年、東京に拠点を移し、藤本壮介建築設計事務所に勤務。その後、ニューヨークのコロンビア大学DeathLABでの6か月間の経験を経て、隈研吾建築都市設計事務所に所属し、独立。その後もKKAAの仲間として、フリーランスコンサルタントの立場で携わっている。

ホームページ|https://apompili.com

Instagram|@andrea_pompili_architect